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【自筆証書遺言】とは?おひとり様が知っておくべき基礎知識
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近年「おひとり様の終活」が注目されています。
家族や子どもがいない場合 自分が亡くなった後の財産やお墓のことを誰が引き継ぐのか 不安を抱える方は多いでしょう。
そんな時に大切なのが「自筆証書遺言」です。
費用をかけずに自分の意思を残せる方法ですが 書き方や保管方法を間違えると無効になってしまうリスクもあります。
この記事では石屋に22年携わり終活やお墓の現場を見てきた経験から おひとり様が安心して自筆証書遺言を作るための基礎知識と実践の流れを解説します。
おひとり様にこそ「遺言」が必要な理由

少子高齢化が進む日本では「おひとり様」で老後を過ごす方が増えています。
結婚をしなかった、子どもがいない、配偶者に先立たれた――。
こうした状況は決して珍しいものではなく、むしろこれからますます増えることが予測されています。
そのなかで大きな課題となるのが「自分が亡くなった後のことをどうするか」です。
特に、財産の行方や葬儀・お墓の希望について、自分の意思を残しておかないと、大きなトラブルや想定外の結末を迎えることがあります。
だからこそ「遺言」は、おひとり様にとって非常に重要な終活の一歩になるのです。
遺言がないと財産は国庫へ ― 相続人がいないおひとり様の現実
まず理解しておきたいのは、相続人がいない場合の財産の行方です。通常であれば配偶者や子ども、兄弟姉妹といった相続人が財産を受け取ります。
しかし、おひとり様の場合には相続人が存在しないケースも多く、その場合は最終的に国のもの、つまり「国庫帰属」となります。
長年築いてきた財産や大切に守ってきた不動産、預金、貴重品までもが、誰の手にも渡らず国に没収されてしまうのです。
もちろん「それでも構わない」と考える人もいるでしょう。
しかし、実際には「せめてお世話になった人に渡したい」「応援してきた団体や施設に寄付したい」「愛犬や愛猫の世話を託したい」と考える方がほとんどです。
遺言がなければ、そうした意思は一切反映されません。人生の最後に自分の想いを届ける手段を失ってしまうことになるのです。
遠縁の親族が登場する可能性 ― 思わぬ相続トラブル
「私は相続人がいないから関係ない」と思っていても、油断は禁物です。
なぜなら、相続の範囲は非常に広く、兄弟姉妹、さらにその子ども(甥・姪)まで及ぶことがあるからです。
自分が長年交流もしていない遠縁の親族が突然「相続人」として現れる可能性があるのです。そうなった場合、本人が望んでいない人に財産が渡ってしまうばかりか、遺産分割を巡って親族間で争いが起きるケースも少なくありません。
裁判沙汰にまで発展すれば、自分の財産が原因で親族同士の関係に亀裂を生むことになります。
これは、おひとり様にとって決して望む結果ではないでしょう。遺言を書いておけば、こうした不要な争いを未然に防ぐことができるのです。
葬儀やお墓の希望が反映されない
おひとり様にとってもう一つ大きな問題が、葬儀やお墓についてです。
遺言がなければ「どんな形で葬儀を行うか」「どこにお墓を建てるか、あるいは納骨堂や散骨を希望するのか」といった希望は一切残せません。
その結果、残された人が勝手に決めることになり、自分が望まない形で葬られる可能性が高いのです。
私は石材店として22年間、お墓や納骨の現場に携わってきました。
そこで実際に目にしたのは「本人は静かに散骨を希望していたのに、親族が勝手に高額なお墓を建ててしまった」「無縁仏になることを避けたいと生前に話していたのに、誰も対応せず無縁墓地に入れられてしまった」といった事例です。
「どうして故人の遺志を尊重しないの?」と親族に詰め寄る方もいました。
こうしたことは決して珍しくなく、非常に多いと日々感じています。
遺言に自分の希望をしっかりと残しておけば、少なくとも「自分らしい最期」を形にすることが可能になります。
ペットやデジタル遺産 ― 新たな課題にも対応できる
現代ならではの事情として「ペットの世話」や「デジタル遺産」も無視できません。
特におひとり様にとってペットは家族同然の存在です。
しかし、自分が亡くなった後、その世話を誰が引き受けてくれるのかを明確にしておかないと、保健所に引き取られてしまうこともあります。
遺言に「○○さんにペットの世話をお願いし、費用として△△万円を渡す」と記載すれば、安心してペットの未来を託せるのです。
また、ネット銀行の口座、SNSのアカウント、サブスク契約などの「デジタル遺産」も放置されがちな問題です。
遺言にアクセス情報や処理方法を明記しておけば、後のトラブルを防ぐことができます。
これは近年急速に注目されている終活テーマであり、特におひとり様こそ対策しておくべき課題です。
遺言は「安心して今を生きるためのツール」
ここまで読むと、遺言は「亡くなった後のためだけのもの」と思われがちですが、実は逆です。
遺言を準備することで「自分の最期の心配を手放せる」つまり「安心して今を生きられる」という大きなメリットがあります。
おひとり様であればあるほど、将来の不安は強くなりがちです。
「もし突然倒れたら、財産はどうなるのか」「お墓は誰が面倒を見てくれるのか」という不安を抱えたままの日々は、精神的な負担になります。
しかし、遺言を用意しておけば「私はこうしてほしい」と明確に意思を残せるため、安心感が大きくなるのです。
終活の現場で多くの方を見てきましたが、遺言を作った方の表情は驚くほど穏やかになります。
自筆証書遺言とは?基礎知識と特徴

「遺言」という言葉を耳にしたことはあっても、具体的にどんな種類があるのか、どうやって作るのかを知っている人は意外に少ないものです。
特に「自筆証書遺言(じひつしょうしょゆいごん)」は、誰でも気軽に取り組める遺言の方法として広く利用されていますが、その一方で注意しなければならない落とし穴もあります。
ここでは、自筆証書遺言の基本的な仕組みや特徴を整理し、おひとり様の終活にどう活かせるのかを考えていきましょう。
自筆証書遺言とは?
自筆証書遺言とは、名前のとおり「遺言者が自分の手で書き記した遺言書」を意味します。
紙とペンさえあれば、誰でもその日のうちに作成できるのが最大の特徴です。
法律で認められている遺言の方式はいくつかありますが、代表的なのは以下の3つです。
- 自筆証書遺言 … 遺言者が手書きで作成する
- 公正証書遺言 … 公証役場で公証人が作成する
- 秘密証書遺言 … 内容を秘密にしたまま封印して公証役場で手続きする
このなかで、もっとも手軽で費用がかからないのが自筆証書遺言です。
自筆証書遺言のメリット
自筆証書遺言の大きな魅力は「手軽さ」と「費用の安さ」です。
- 費用がかからない
紙とペンがあれば作成できるため、公証人に依頼する費用も不要です。経済的に負担が少なく、誰でも気軽に始められます。 - 秘密にできる
自分だけで作成できるため、家族や親族に知られずに遺言を残すことが可能です。「財産の分け方を事前に知られたくない」という場合には大きなメリットになります。 - 思い立ったらすぐ書ける
例えば病気が見つかったときや、旅行前に「念のために」といった形でもすぐに用意できるのは安心です。 - 自由度が高い
財産分与だけでなく「葬儀の方法」「お墓のこと」「ペットの世話」など、自分の想いを幅広く書き残すことができます。
自筆証書遺言のデメリットとリスク
一方で、自筆証書遺言には注意点やリスクも少なくありません。
- 形式不備で無効になる可能性
全文を自筆で書くこと、日付や署名、押印を忘れないことなど、法律で定められた要件を満たさないと遺言は無効になってしまいます。「せっかく書いたのに効力を持たない」というケースは非常に多いのです。 - 紛失や改ざんの危険
自宅で保管していた場合、火災や水害で失われる可能性があります。また、親族の誰かに見つかってしまい、故意に破棄されるリスクも否定できません。 - 家庭裁判所での検認手続きが必要
遺言者が亡くなった後、相続人がその遺言を使うためには「家庭裁判所の検認手続き」を経る必要があります。これにより相続開始までに時間がかかることもあります。 - 内容が曖昧だとトラブルに発展
「この家を長男にあげる」とだけ書いてあっても、登記簿の住所と一致しないと無効になることがあります。預金についても銀行名や支店名、口座番号まで正確に記載しなければ、後で相続人が混乱する原因になります。
公正証書遺言との違い
自筆証書遺言と比較されることが多いのが「公正証書遺言」です。両者の違いを整理すると次のようになります。
項目 | 自筆証書遺言 | 公正証書遺言 |
---|---|---|
作成方法 | 本人が自筆で作成 | 公証人が作成(証人2名が必要) |
費用 | 無料 | 財産額に応じて数万円〜数十万円 |
秘密性 | 家族に知らせず作成可能 | 証人・公証人が内容を把握する |
保管方法 | 自宅・法務局など | 公証役場で原本を保管 |
無効リスク | 高い(形式不備・紛失等) | 低い(公証人が確認) |
検認手続き | 必要 | 不要 |
費用や秘密性を重視するなら自筆証書遺言、確実性を重視するなら公正証書遺言という選択になります。
法務局の遺言書保管制度 ― 新しい安心の仕組み
自筆証書遺言の弱点を補う仕組みとして、2020年7月から始まったのが「自筆証書遺言書保管制度」です。
これは全国の法務局で自筆証書遺言を有料で保管してもらえる制度で、以下のメリットがあります。
- 保管費用は1通3900円と手頃
- 紛失や改ざんのリスクがなくなる
- 家庭裁判所での検認手続きが不要になる
この制度を利用すれば、自筆証書遺言のデメリットを大幅に減らせます。
特におひとり様にとっては「自分の死後、誰かが確実に遺言を見つけて手続きしてくれる」安心感につながります。
おひとり様にとっての活用シーン
おひとり様にとって自筆証書遺言は、次のような場面で有効です。
- 相続人がいないため、財産を友人や団体に寄付したい場合
- ペットの世話を特定の人に頼みたい場合
- お墓や葬儀の希望を明確にしておきたい場合
- 急な病気や手術に備えて、とりあえず意思を残しておきたい場合
つまり「とにかく早く」「費用をかけずに」「自分の思いを残したい」と考える方にぴったりの方法なのです。
自筆証書遺言をおひとり様が選ぶメリット

おひとり様の終活において「遺言をどう残すか」はとても重要なテーマです。
遺言の方式にはいくつか種類がありますが、その中でも「自筆証書遺言」は、費用や手間を抑えながら自分の想いを形にできる方法として注目されています。
ここでは、公正証書遺言など他の遺言方法と比較しながら、おひとり様にとって自筆証書遺言を選ぶメリットを詳しく見ていきましょう。
費用をかけずに始められる
自筆証書遺言の最大の魅力は、ほとんど費用をかけずに作成できる点です。
紙とペンさえあれば、自宅でその日のうちに遺言を残すことができます。
一方、公正証書遺言を作る場合は、公証人の手数料や証人の立ち合い費用などが必要になります。
財産額によっては数万円から十数万円かかることも珍しくありません。
おひとり様の場合、生活費や老後資金を考えると「できるだけ余計な出費を抑えたい」と思う方も多いでしょう。
自筆証書遺言なら、お金の負担を最小限にしながら、自分の意思をしっかり残すことができます。
誰にも知られずに作成できる
自筆証書遺言は、自分一人で静かに書き上げることができます。
公証役場での手続きや証人の立ち合いが不要なため、家族や親族に内容を知られることなく遺言を残せるのです。
「遺産の行き先について口出しされたくない」
「友人や特定の団体に遺産を遺したいが、親戚には知られたくない」
こうしたケースは、おひとり様に限らずよくあることです。
特に親族との関係が薄い場合、「なぜあの人に財産を残すのか」と不要なトラブルにつながる可能性もあります。
自筆証書遺言であれば、死後まで内容を秘密にしておけるため、余計な干渉を避けながら自分の意思を残すことができます。
思い立った時にすぐ作れる
おひとり様にとって大切なのは「もしもの時に備えて早めに動くこと」です。
病気や事故はいつ起きるかわかりません。
「今すぐに遺言を用意しておきたい」と思ったとき、すぐに行動できるのが自筆証書遺言の強みです。
- 入院前に急いで遺言を残したい
- 旅行に出かける前に念のため作っておきたい
- テレビで終活特集を見て「自分もやらなきゃ」と感じた
こうした「思い立った瞬間」にすぐ対応できるのは、公証役場での予約が必要な公正証書遺言にはないメリットです。
自分の言葉で自由に気持ちを残せる
自筆証書遺言は、形式を守れば自分の好きなように内容を書けます。
財産の分配だけでなく、自分の人生観や感謝の言葉、葬儀やお墓に関する希望なども書き残すことができます。
たとえば:
- 「長年世話になった友人に財産を遺したい」
- 「愛犬の世話を◯◯さんにお願いしたい。そのために資金も残す」
- 「葬儀は小さく、散骨を希望する」
このように法律的な部分と、気持ちの部分を合わせて残せるのが自筆証書遺言の魅力です。
おひとり様にとっては「誰かに思いを伝える最後の手紙」としての意味も持つでしょう。
法務局の保管制度で安全性が高まる
これまで自筆証書遺言のデメリットとして大きかったのが「紛失や破棄のリスク」でした。
せっかく書いても自宅に置きっぱなしにすると、火事や災害で失われたり、親族に発見されて処分されてしまう可能性もありました。
しかし2020年からスタートした「法務局の遺言書保管制度」を使えば、こうしたリスクを避けられます。
- 保管費用は1通3900円
- 全国の指定法務局で預けられる
- 家庭裁判所での検認が不要になる
- 死後、遺言書の有無をスムーズに確認できる
この制度を利用することで、自筆証書遺言は「手軽さ」と「安全性」を両立できるようになりました。おひとり様にとっては、自分の死後も遺言が確実に実行される安心感につながります。
公正証書遺言とのバランスを取れる
もちろん、公正証書遺言の方が確実性は高いです。
ただし「まだ財産が少ない段階」や「とりあえず意思を残しておきたい段階」では、自筆証書遺言の方が適しています。
そして財産が増えたり、内容を固めたくなったときに、公正証書遺言に切り替えるという方法もあります。
つまり、自筆証書遺言は 「終活の第一歩」として最適な選択肢 なのです。
実際のおひとり様の活用例
実際におひとり様が自筆証書遺言を活用している例を挙げると
- 友人に遺産の一部を残し、残りを動物保護団体に寄付したケース
- 信頼できる知人にお墓の管理を任せたケース
- 財産目録をパソコンで作り、現金・口座・不動産を整理して残したケース
どの例も「自分の想いを、確実に形に残すことができた」という安心感につながっています。
自筆証書遺言の正しい書き方(失敗しないポイント)

自筆証書遺言は、自分で紙とペンさえあれば作成できる、とても身近な遺言の方法です。
しかし、形式やルールを守らなければ「無効」とされてしまい、せっかくの想いが反映されない恐れがあります。
実際、家庭裁判所に提出された自筆証書遺言の中には、形式不備で無効になってしまうケースが少なくありません。
ここでは、おひとり様が安心して自筆証書遺言を残せるように、「正しい書き方」と「よくある失敗ポイント」を整理して解説します。
自筆証書遺言の必須条件
自筆証書遺言を有効にするためには、民法で定められた条件を満たす必要があります。
最低限守るべきポイントは次のとおりです。
- 全文を自筆で書くこと
内容はもちろん、日付、署名まで本人の直筆でなければなりません。代筆やパソコン入力は原則NGです。 - 日付を明記すること
「令和5年12月吉日」といった曖昧な表現は不可。「2025年8月19日」と具体的に書く必要があります。 - 署名と押印
署名はフルネームで書き、印鑑は認印でも構いませんが、できれば実印が望ましいです。
この3つを欠くと、遺言は無効になってしまうため、必ず確認しましょう。
財産の書き方:特定できるように詳しく書く
遺言の内容で特に重要なのが「財産の記載」です。
ここで曖昧な表現をしてしまうと、相続人や受遺者が混乱してトラブルに発展する可能性があります。
不動産の場合
- 登記事項証明書に記載されている通りの表現で書くことが必要です。
- 例:「東京都◯◯区◯丁目◯番◯ 地番◯番の土地 地目 宅地 地積◯平方メートル」
預貯金の場合
- 銀行名、支店名、口座種類、口座番号まで明記します。
- 例:「〇〇銀行△△支店 普通預金 口座番号1234567」
株式・有価証券の場合
- 証券会社名、銘柄、株数を正確に書く必要があります。
動産や貴重品の場合
- 「宝石」や「骨董品」といった曖昧な書き方ではなく、「18金のネックレス1本」「掛軸(作者:〇〇)」と具体的に記載します。
財産目録はパソコンやコピーでもOK
2019年の法律改正により、財産目録部分については手書きでなくても大丈夫になりました。
つまり、財産目録はパソコンで作ったり、通帳や登記事項証明書のコピーを添付することが可能です。
ただし重要なのは、財産目録の各ページに本人の署名・押印をすることです。これを忘れると無効になるので要注意です。
修正のルールは厳しい
自筆証書遺言でよくある失敗が「誤字脱字や修正方法」です。
遺言は後から書き直したり加筆することができますが、その方法にも決まりがあります。
- 修正する箇所を二重線で消す
- 消した部分に押印する
- 訂正印の横に「〇文字削除、〇文字加筆」と書き添える
こうした手続きをしなければ訂正は無効になります。
書き直しが多い場合は、潔く「新しく書き直す」ほうが確実です。
誤解されやすい表現は避ける
自筆証書遺言は、読み手が「どう解釈するか」が重要になります。
曖昧な表現をするとトラブルの火種になりかねません。
たとえば
- 「長男に財産を任せる」 → どの財産を任せるのか不明確
- 「家を売って分ける」 → どの家を指すのか不明確
- 「世話になった人に渡す」 → 誰のことか特定できない
このように漠然とした書き方ではなく、具体的な名前や対象を明記することが大切です。
遺言の保管方法
書き上げた遺言は、正しく保管することも重要です。
自宅保管のリスク
- 火災や水害で消失する可能性
- 親族に発見されて破棄される恐れ
信頼できる人に預ける
- ただし人間関係の変化やトラブルに注意
法務局の遺言書保管制度
- 1通3900円で保管可能
- 家庭裁判所の検認が不要
- 確実に死後執行される
おひとり様の場合、最も安心なのは「法務局での保管」を選ぶことです。
書く前に準備しておくこと
スムーズに遺言を書くために、次の準備をしておくと安心です。
- 財産一覧を作る(不動産・預貯金・有価証券・動産)
- 誰に何を遺すか大まかに決めておく
- 法務局の保管制度を利用する場合は、必要な書類をそろえる
- 書き方に不安があれば、司法書士や弁護士に相談
自筆証書遺言を保管する3つの方法

自筆証書遺言は、紙とペンさえあればすぐに作れる便利な遺言方法ですが、書き終えた後に「どこに保管するか」で安心度が大きく変わります。
せっかく正しく作っても、紛失したり破棄されたりすれば意味がありません。
特におひとり様の場合は、遺言の存在を誰が確認してくれるのかが大きな課題となります。
ここでは、自筆証書遺言の保管方法として代表的な3つのパターンを比較し、それぞれのメリット・デメリットを整理していきます。
自宅で保管する場合
メリット
- 最も手軽で費用がかからない。
- 思い立ったらすぐに書いて、そのまま保管できる。
- 他人に知られず秘密を守れる。
デメリット
- 紛失や破棄のリスクが高い。
- 火災や水害などで消失する可能性がある。
- 死後に発見されないままになってしまう恐れ。
例えば、タンスや金庫にしまったまま誰にも伝えなければ、遺言があることを誰も知らず、遺産分割が遺言なしで進んでしまうケースも少なくありません。
おひとり様の場合は、特に「発見されないリスク」が高いため、自宅保管だけに頼るのは心もとないでしょう。
信頼できる人に預ける場合
メリット
- 確実に存在が伝わるため、死後に遺言が見つかりやすい。
- 自分では守りきれない場合の安心感がある。
- 弁護士や司法書士に預ければ法的に適切な助言を受けられることもある。
デメリット
- 預けた相手が故意に破棄してしまう可能性がある。
- 人間関係が変化した際にトラブルに発展する場合がある。
- 親しい人に預けると「内容を勝手に見られてしまう」不安が残る。
例えば、親族に預けていたものの「自分に不利な内容が書かれている」と判断され、密かに破棄されてしまうという事例も報告されています。
信頼できる人に預けることは有効ですが、リスクをゼロにはできません。
法務局の遺言書保管制度を利用する場合
制度の概要
2020年7月から始まった「自筆証書遺言書保管制度」は、全国の法務局で遺言を預けられる仕組みです。
費用は1通あたり3900円。本人が直接法務局に出向いて手続きを行い、遺言を専門の施設で保管してもらいます。
メリット
- 公的機関で厳重に保管されるため、紛失や破棄の心配がない。
- 死後、家庭裁判所の「検認手続き」が不要になり、速やかに執行される。
- 相続人や関係者が遺言の有無を確認できる仕組みが整っている。
- 保管証を受け取れるので、自分も安心。
デメリット
- 保管のために法務局へ出向く必要がある。
- 遺言の内容が正しいかどうかはチェックされない(形式面だけ)。
- 遺言を変更したい場合は再度法務局へ行って手続きが必要。
特におひとり様の場合、遺言の存在が確実に伝わるという点で、この制度は非常に大きなメリットを持ちます。
自宅保管や他人に預ける方法に比べ、安心度は圧倒的に高いといえるでしょう。
3つの保管方法の比較表
保管方法 | 費用 | 発見される可能性 | 紛失・破棄リスク | おひとり様におすすめ度 |
---|
自宅保管 | 無料 | 低い | 高い | ★☆☆☆☆ |
信頼できる人に預ける | 無料〜相談料あり | 中程度 | 中程度 | ★★☆☆☆ |
法務局保管制度 | 3900円 | 高い | ほぼゼロ | ★★★★★ |
保管先を決めるときの注意点
- 遺言が「存在しなければ意味がない」ことを意識する。
- 信頼できる人がいない場合は、必ず法務局保管を選ぶ。
- 遺言の内容を更新したい場合は、古い遺言の破棄も忘れずに。
- どの保管方法を選ぶかは、財産の内容や人間関係に応じて柔軟に考える。
おひとり様が遺言で決めておきたいこと

結婚していない、子どもがいない、あるいは身近に頼れる親族がいない──。
こうした「おひとり様」の場合、亡くなった後のことを任せられる人がいないため、遺言の役割は非常に大きくなります。
遺言を書いておけば、財産の行き先や葬儀の方法などを自分の意思で決めておけるため、死後の不安を大きく軽減できます。
ここでは「おひとり様だからこそ、遺言で具体的に決めておきたいこと」を整理して解説します。
財産の分け方(相続・遺贈の指定)
相続人がいない場合の落とし穴
独身で子どももいない場合、両親や兄弟姉妹、甥姪などが法定相続人となります。
もし誰もいなければ、財産は最終的に国庫に帰属します。
つまり、遺言を残さなければ、自分が大切にしてきた財産の行き先を自分で決めることができません。
遺言で指定できること
- 特定の親族に渡す(甥や姪など)
- お世話になった友人に贈る
- 寄付する(NPOや自治体など)
- ペットの世話をしてくれる人に渡す
このように、自分の意思で自由に財産を託せるのが遺言の大きな魅力です。
預貯金・不動産・動産の取り扱い
財産の内容は人によってさまざまですが、特に次の点は遺言で明確にしておくと安心です。
- 不動産:自宅や土地を誰に残すか。売却して現金化するか。
- 預貯金:どの口座を誰に渡すか、または葬儀費用として使うか。
- 動産(車、宝石、骨董品など):価値があるものは受け取り手を決める。
例えば「自宅は売却して、そのお金を○○団体に寄付する」といった具体的な指定をしておくと、残された人が迷わずに手続きを進められます。
葬儀やお墓の希望
おひとり様にとって大きな関心事のひとつが「葬儀」と「お墓」です。
親族に任せられない分、自分の希望を遺言に書いておくと安心です。
遺言に書けることの例
- 葬儀はシンプルに家族葬にしてほしい
- 火葬のみで構わない
- 菩提寺で葬儀をしてほしい
- 永代供養墓に納骨してほしい
- 散骨してほしい
特に最近は「お墓を持たない選択」をする人が増えています。
石屋の私が仕事で感じている事は新規でお墓を建立する方が圧倒的に少ないという事実です。
高齢化社会で亡くなる方が増えているはずですが、新規建墓が少ない訳は永代供養墓・樹木葬・海洋散骨・自宅保管といった葬送方法を選択している方が増えているからです。
現代では納骨=お墓という概念はとっくに崩れ去っています。
自筆証書遺言に自分の希望を遺言に書いておく事は大切な事です
自分の意思を遺言で残しておけば、望まない形で葬られる心配を減らせます。
デジタル遺産の整理
現代のおひとり様が見落としがちなのが「デジタル遺産」です。
- ネット銀行や証券口座
- クレジットカードのオンライン契約
- SNSやメールアカウント
- サブスク契約
これらを放置すると、料金が引き落とされ続けたり、個人情報が流出するリスクがあります。
遺言では「IDやパスワードをどう管理するか」「アカウント削除を誰に依頼するか」といった指示を残すことが有効です。
ペットの行き先
ペットと暮らすおひとり様にとって最大の心配事は「自分が亡くなった後にこの子をどうするか」です。
ペットは法律上「物」ですが、大切な家族です。
遺言で決めておけること
- 誰に引き取ってもらうか
- その人にペットの世話代として財産を残す
例えば「愛犬○○は友人△△に託し、その飼育費用として100万円を遺贈する」と書いておけば、ペットの行き先も安心です。
死後の事務手続き(死後事務委任契約との組み合わせ)
遺言は「財産の分け方」を決めるものですが、死後に必要な事務手続き(病院への支払い、公共料金の解約、家の片付けなど)はカバーできません。
そのため、おひとり様には 「死後事務委任契約」 と組み合わせることが推奨されます。
- 遺言 → 財産の処分方法を指定
- 死後事務委任契約 → 死後の事務処理を依頼
この2つを併せることで、死後の混乱を防ぐことができます。
遺言執行者の指定
おひとり様の場合、遺言を書くだけでは不十分です。遺言の内容を実際に実行してくれる「遺言執行者」を指定しておくことが大切です。
遺言執行者に指定できるのは
- 信頼できる友人や親族
- 弁護士や司法書士など専門家
専門家に依頼すると費用はかかりますが、確実に手続きを進めてもらえる安心感があります。
遺言を書いて安心するためのサポート先(専門家・制度紹介)

遺言は自分ひとりで書くこともできますが、「本当にこれで大丈夫なのか」「形式を間違えて無効にならないか」と不安になる方は多いものです。
特におひとり様の場合、相談できる家族がいないため、専門家や公的機関を活用することが安心につながります。
ここでは、遺言作成や保管をサポートしてくれる主な相談先をご紹介します。
弁護士
特徴
法律の専門家である弁護士は、遺言に関するあらゆる相談に対応できます。遺産相続の争いを見据えたアドバイスや、遺言執行者としての役割も担えます。
メリット
- 法的に有効な遺言を確実に作成できる
- 相続人とのトラブルを防ぐためのアドバイスが得られる
- 死後の「遺言執行者」として任せることも可能
デメリット
- 相談料や作成料が比較的高額になる(数万円〜数十万円)
- 相続財産が少ない場合、費用とのバランスが難しい
弁護士は「相続人が複数いて揉めそう」「財産が複雑で整理が難しい」というケースに向いています。
司法書士
特徴
司法書士は、不動産登記や相続登記の専門家です。
遺言作成のサポートや、遺言の内容を基にした登記手続きまで一貫して依頼できます。
メリット
- 不動産を相続に含む場合に強い
- 弁護士に比べて費用が比較的抑えられる
- 遺言執行者を依頼できる場合もある
デメリット
- 相続人同士の紛争対応など「法律トラブル」には対応できない
- 財産が多岐にわたる場合は弁護士の方が適している場合も
不動産を持っているおひとり様には特に有力な相談先となります。
行政書士
特徴
行政書士は、書類作成のプロフェッショナルです。
自筆証書遺言の文案を一緒に作ったり、公正証書遺言を作成する際に公証人との橋渡しをしてくれます。
メリット
- 遺言書の作成サポートが得意
- 費用が弁護士・司法書士より安いケースが多い
- 気軽に相談しやすい
デメリット
- 裁判や紛争に関することは対応できない
- 遺言執行者を務めてもらえるかは事務所による
費用を抑えて、まずは遺言を書いてみたいおひとり様には利用しやすい専門家です。
公証役場(公証人)
特徴
「公正証書遺言」を作成する場合に関わるのが公証人です。
本人が出向いて口述し、それを基に公証人が遺言を作成し保管してくれます。
メリット
- 法的に無効になる心配がほぼない
- 原本が公証役場に保管されるため紛失の恐れがない
- 信頼性が高く、裁判でも強い効力を持つ
デメリット
- 証人が2名必要(専門家に依頼すると別途費用)
- 作成費用がかかる(財産額に応じて数万円〜十数万円)
- 自筆証書遺言に比べて気軽さはない
「絶対に遺言を確実に残したい」というおひとり様には最も安心できる方法です。
法務局の「自筆証書遺言書保管制度」
2020年にスタートした新しい制度です。
自筆証書遺言を法務局で保管してもらえる仕組みで、費用は1通3,900円と手軽です。
メリット
- 公的機関で保管してくれる安心感
- 紛失・改ざん・破棄のリスクがほぼない
- 家庭裁判所の検認手続きが不要
- 保管証を発行してもらえる
デメリット
- 内容のチェックはしてもらえない(形式面のみ)
- 変更・撤回の際は再度法務局へ出向く必要あり
自宅保管や他人に預けるよりもはるかに安心で、特におひとり様には強くおすすめできる制度です。
市区町村の相談窓口
自治体の「終活相談」「成年後見制度相談」「高齢者相談窓口」では、無料で遺言や相続について一般的な相談ができます。
- 遺言の基礎知識を知りたい
- 専門家に相談する前に方向性を整理したい
- 費用をかけずに情報を集めたい
という方には有効な窓口です。
専門家や制度を活用する際のポイント
費用と内容のバランスを考える
財産が少額なら行政書士や法務局保管制度、大きな財産や複雑なケースなら弁護士や公証役場。
死後まで安心を担保したいなら「遺言執行者」を指定する
専門家に依頼すれば確実。
複数の専門家に相談して比較する
最初から一人に決めず、説明のわかりやすさや相性も重視する。
まとめ:自筆証書遺言は「自分らしい終活」の第一歩

終活という言葉はすっかり一般的になりましたが、その内容は人によってさまざまです。
写真や手紙を整理する人もいれば、財産やお墓のことを考える人もいます。
なかでも「遺言を書くこと」は、自分の想いを未来に残すためのとても大切な取り組みです。
特におひとり様にとっては、遺言こそが「自分の人生を最後まで自分で決める」ための唯一の手段になるといえるでしょう。
遺言は「財産の分け方」だけではない
「遺言」と聞くと、多くの人が「お金や不動産を誰に渡すか」を決めるものだと思いがちです。
確かに相続に関する効力が中心ですが、それだけにとどまりません。
- 誰にお葬式をお願いしたいか
- お墓はどうしたいか、散骨を望むのか
- 親しい友人への感謝の品を残したい
- 飼っているペットの世話を頼みたい
こうした「自分の想い」も遺言に盛り込むことができます。
つまり遺言は、単なる財産分与の書類ではなく、自分の生き方や価値観を後世に伝えるメッセージ でもあるのです。
自筆証書遺言は誰でも気軽に始められる
公正証書遺言や秘密証書遺言など、遺言にはいくつかの種類があります。
その中でも自筆証書遺言は、最も手軽に始められる方法です。
紙とペンさえあれば今日からでも書くことができ、費用もかかりません。
- 法律のルールを守れば効力を持つ
- 自分のペースで書ける
- 修正や書き直しも自由
「大げさな手続きはちょっと…」と感じる方でも、まずは自筆証書遺言から取り組むことができます。
書くことで「安心」が得られる
遺言を書く最大の効果は、財産や手続きがスムーズにいくこと以上に、自分自身が安心できること です。
「これで迷惑をかけないで済む」
「私の気持ちがちゃんと伝わる」
そう感じられるだけで、心が軽くなります。
終活は未来の不安を減らすための活動ですが、遺言を書くことはまさにその第一歩になるのです。
おひとり様にこそ必要な理由
家族がいない、もしくは疎遠であるおひとり様の場合、自分が亡くなった後のことを誰かが自然にやってくれる、という状況はほとんどありません。
- 財産は国庫に帰属してしまう可能性がある
- お葬式やお墓の手配が滞る
- ペットや大切な持ち物の行き先が決まらない
こうした事態を避けるためにも、遺言で自分の意思を残しておくことは極めて重要です。
遺言があるかないかで、あなたの「人生の最後のシナリオ」は大きく変わります。
法務局保管制度を利用すればさらに安心
「書いたはいいけど、見つけてもらえなかったら意味がない」
これは自筆証書遺言の最大の弱点です。
そこで活用したいのが 法務局の自筆証書遺言保管制度。
この制度を利用すれば、遺言が確実に保管され、死後に相続人が確認できる仕組みが整っています。
検認も不要になるため、遺言執行がスムーズに進むのも大きなメリットです。
おひとり様にとっては、まさに「遺言の存在を確実に未来へつなぐ」仕組みといえるでしょう。
遺言を書くことは「自分を見つめ直すこと」
遺言を書く過程では、必ず自分の人生を振り返ることになります。
- 自分にとって大切な人は誰か
- どんなモノや財産を残したいのか
- 最後に伝えたい言葉はあるか
こうした問いかけを通じて、自分の価値観や生き方を整理できるのです。
つまり遺言は、自分の人生の棚卸し でもあり、それ自体が深い意味を持つ「終活」といえるでしょう。
完璧でなくてもいい、まずは書いてみる
遺言と聞くと「法律的に正しく書けるか不安」「難しいのでは」と感じて、なかなか手をつけられない方も多いです。
しかし大事なのは、まず一歩踏み出すこと。
最初は簡単な形で構いません。
- 「葬儀はシンプルにしてほしい」
- 「〇〇にこの本を渡したい」
- 「△△には本当に感謝している」
そんな短い文章から始めてもいいのです。
書きながら徐々に形を整えていけば大丈夫。
法律的に不安な部分は、後から専門家に相談すれば修正できます。
遺言は「最後のラブレター」
ある人は、遺言を「最後のラブレター」と呼びました。
財産の分け方以上に、自分の想いを大切な人に伝えることができるからです。
- 感謝の言葉
- 励ましのメッセージ
- 人生で学んだことのシェア
こうした文章が添えられているだけで、遺言を受け取った人にとっての意味は格段に深くなります。
遺言は、あなたの人生の締めくくりを彩る最後の手紙なのです。
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